開発ストーリー

グランフォート

細部にまでこだわり抜いた、
高級感あるれるロングセラー座椅子
「グランフォート」。

「座椅子」という言葉の印象からは
一線を画すような、
家具としての高級感と座り心地を
実現した「グランフォート」。
10年以上に渡り売れ筋商品の
ひとつに名を連ねる
このロングセラー商品について、
開発担当者にお話を伺いました。

開発担当者

開発担当者

デザイン設計部 所属T.Mさん
2003年明光ホームテック入社。
デザイン設計部立ち上げメンバーの一人として、数多くのヒット商品のデザイン・設計に携わる。

座椅子のイメージが
変わるような新しいものとして
「高級感」で付加価値を…

Q
よろしくお願いいたします。まずはじめに「グランフォート」について、どのような商品か教えていただいてもよろしいでしょうか。−
T.M

もともと男性をメインターゲットにした、全体はもちろん細部にまでこだわった商品です。回転機能やリモコンなどを入れられるポケットもついていて、長時間ご使用される方には最適かと。もちろん、大切な方へのプレゼントにもぴったりです。

開発当初といえば、15年くらい前の話になりますからね…でも、とても印象的な商品なので、今でも覚えていますよ。開発のきっかけは「ホームセンターにある座椅子のなかで、最高価格帯の商品をつくろう」といったものでした

Q
ずいぶんと野心的ですね。−
T.M
やはり座椅子のイメージが変わるような、新しいものをと。当時はリクライニングがついて、肘置きがついて、回転機能がついて…など、機能に応じて価格がカテゴライズされるのが基本でしたから。次に付加価値が出せるとしたら、やはり「高級感」の部分ですよね。実際、そうした最上位クラスの競合商品は少なかったんです。
Q
そのぶん他とは差別化された商品になったと−
T.M
はい。これには私たちが普段お世話になっている中国の工場の協力も大きくて。実際にいいものをと思っても、この価格帯とクオリティを生産できるは、工場との密な連携や理解があってこそなんですよね。当社は長らく特定の工場とお付き合いしておりますが、これまでの関係性というか、そうした積み重ねが商品の強みになっている部分はありますね。

一つひとつの細かな
縫製の部分も
こだわりを持って
仕上げているんです。

Q
見てみると、確かに革張りソファのような質感ですね−
T.M

ありがとうございます。商品のボリューム感もそうですが、たとえば全面の素材にもこだわっていて。もともとベースとなった商品(商品名は付いてなかったのかな…笑)には、質感重視の合成皮革を使っていたんですね。ですがそれだと、長い期間使うことにより表面がボロボロになってしまうというのを、お客さまの声としていただいていて。

長く使っていただける商品にしたいという思いから、水にも強い素材に変更しました。座面や背面のセンターにはメッシュ素材の切り返しでアクセントも。通気性も良くなった上、デザイン的にもスタイリッシュに仕上がっていると思います。

Q
ハイグレードな商品ですしね−
T.M
はい、なので耐久性はもちろん、一つひとつの細かな縫製の部分もこだわりを持って仕上げているんです。その点、開発の当初は社外の業者さんに縫製をお願いしていたんですけど、「やっぱり自分でやる」と、専用のミシンを購入して縫製を練習、自分自身で試作を繰り返すことになりました(笑)
Q
縫製をご自身で?−
T.M
開発期間は、ですよ?形状を想定して型紙をつくって、それを縫ってもらう、だと、なかなか思い通りの形を作りにくかったんですよね。マチの部分や、凹凸の部分にもこだわりたいし。
Q
実際にどのような部分に腕前が披露されている?−
T.M

腕前ってほどでもないのですが…たとえば椅子の角の部分はほんのちょっとだけマチを残していたり、あとは座面の縫製も裏地の板状の樹脂綿と一緒に縫い込んでいるから、グランフォートならではの陰影が生まれるんですよ。これがひとつ、高級感にもつながってきますから。

頭部、背もたれ、座面と、パーツごとにそれぞれ磨きをかけて、それを合わせ込むように、ひとつの座椅子をつくるんです。最初はほんと、試行錯誤の繰り返しでしたけど、ディティールにこだわって、それが品質にもつながっているのだと思います。

家具屋さんに置いてある
「家具」としての座椅子に
したかったんです。

Q
改めて商品を見てみると、やはり座り心地もよさそう−
T.M
もちろん、内部にはウレタンが敷き詰められているのですが、その配置や量にもこだわり、検証を重ねましたね。ただ一枚ベタっと貼ってあるだけではなくて、サイドの盛り上がりの部分なんかは重ねて形を出すようにしてみるとか。腰の部分もこう…包み込むようなボリューム感が出るように調整もしています。もちろんウレタンの種類も、チップのものがいいのか低反発のものがいいのか、何度も試したりしながら、ベストな座り心地を探って行きましたね。
Q
そこまでこだわるきっかけとは−
T.M
やはり冒頭にもお話ししたように、ホームセンターに置いてある座椅子の最高価格帯になるという部分ですよね。それと、こちらも大きいですが、やはり家具屋さんに置いてある「家具」としての座椅子にしたかったんですよ。ほら、ちょっとイメージが違うじゃないですか。だからこそディテールにこだわってつくった、というのはありますね。
Q
質感も、それから耐久年数も−
T.M
ええ、やっぱり気に入って買った家具が一年で…というのはあまりにも残念だなと個人的には思いますから。耐久性と、もちろん機能性と、そのあたりのバランスも見ながらこだわり抜いた商品になりました。

「高級感」をグランフォートの
アイデンティティに、
さらなるグレードアップを
目指したい。

Q
それにしても、10年以上売れ続ける商品って少ないのでは?−
T.M
そうなんです。本当に少なくて。そういう意味でやはりこの商品は自分のデザイナー人生のなかでも特別な商品になりましたね。もちろん仕様検討のときだけじゃなくて、それを中国の工場で生産していく際もいろんな壁にぶち当たりましたけど…それもまたいい思い出です(笑)
Q
今後の展開等は?−
T.M

自分自身が学生時代、駆け出しの頃からずっと「木」をあしらった家具が好きで。もちろん個人的な好みもありますけど、やはり次の展開、より高級感を出していこうと考えると、ディテールの部分で木をあしらってあると違うかなと思いますね。あくまでデザインの方向性の一つですが…

あと、機能的なところにも改善の余地は多分にあると感じています。たとえばリクライニングなんかは、今は「カチッカチッ」と段階的に背もたれが変わっていくわけですが、これの仕様を変えてもう少しなめらかに、無段階でリクライニングできるようにしたりと。今の課題などを改善していく視点が、ひとつリニューアルのポイントになるかなと感じています。

Q
もし完成したら…次の「新生・グランフォート」が楽しみです−
T.M
ありがとうございます。どちらにせよやっぱり高級感みたいなところはグランフォートのアイデンティティかなと思いますので、活かせるべきところはちゃんと活かして。現在も「デザインがカッコよく満足している」「3度目のリピートです」などうれしい声をいただいているので、さらなるグレードアップを目指していきたいですね。

お客さまへのメッセージ

いつもグランフォートをご愛用いただきありがとうございます。開発者として皆さまのお声は開発の何よりのエネルギーとなります。どんな小さなことでもかまいませんので、今後もさまざまなご意見をいただけると幸いです。これからも満足度の高い商品へ昇華させられるように改良を続けてまいりますので、ご期待ください。